SAPを使っていると、同じ会社内の別の工場や倉庫に在庫を移す「在庫転送(Stock Transfer)」という業務がよく登場します。
その中でも特に便利なのが、**在庫転送オーダー(STO)**と呼ばれる仕組みです。
この記事では、STOとは何か、1ステップ転送と2ステップ転送の違い、積送中在庫の確認方法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
在庫転送オーダー(STO)とは?
在庫転送オーダー(STO)とは、会社内の工場や倉庫間で在庫を移動させるための発注伝票です。
たとえば:
- 東京工場から大阪工場へ製品を移す
- 倉庫Aから倉庫Bに部品を移す
といった場面で使います。
STOを使うことで、仕入先との購買発注と同様のフローで、社内の在庫移動を管理できます。
なぜSTOを使うの?
特徴 | 説明 |
---|---|
会計的に明確 | 発注先・受領先を区別して、仕訳が発生する |
トレースが可能 | 出荷元・受領先・納品番号が紐づき、追跡しやすい |
積送中の管理 | 移送中の在庫(積送中在庫)をシステムで把握可能 |
販売管理・購買管理と連携可 | SD/MMモジュールとの統合がしやすい |
1ステップ転送と2ステップ転送の違い
STOの処理方法には **「1ステップ転送」と「2ステップ転送」**があります。
1ステップ転送(One-step)
- 出荷と入庫を一度に登録
- シンプルで処理が速い
使用Tコード:MIGO
例:
- 東京工場で出荷処理 → 同時に大阪工場で入庫処理も完了
項目 | 処理内容 |
---|---|
出荷元 | 在庫が減少 |
受領先 | 在庫が増加 |
積送中在庫 | 発生しない |
2ステップ転送(Two-step)
- 出荷と入庫を別々に登録
- 積送中(トランジット)在庫を管理できる
使用Tコード:
- 出荷(出庫):
MIGO
- 入荷(受領):
MIGO
(再度)
例:
- 東京工場で出荷処理(在庫減少+積送中在庫増加)
- 数日後、大阪工場で入庫処理(積送中在庫減少+在庫増加)
項目 | 処理内容 |
---|---|
出荷元 | 在庫が減少 |
積送中在庫 | 一時的に発生 |
受領先 | 入庫処理後に在庫増加 |
積送中在庫を確認するには?
トランザクションコード:MB5T
- Tコード:
MB5T
- 名称:Stock in Transit(積送中在庫の確認)
使い方:
- Tコード
MB5T
を入力 - プラントや仕入先、受領先を指定
- 表示を実行すると、積送中の在庫数量とドキュメント番号が一覧表示されます
📌 積送中在庫が残ったままになっている場合は、受領処理が未実施の可能性があります。
その他関連Tコードまとめ
Tコード | 説明 |
---|---|
ME21N | 在庫転送オーダーの作成(発注) |
MIGO | 出荷処理・入荷処理 |
MB5T | 積送中在庫の確認 |
VL10B | 出荷伝票の作成(SD統合型) |
VL02N | 出荷伝票の変更(出荷完了など) |
ME23N | 発注伝票の参照(STO確認) |
まとめ
項目 | 1ステップ転送 | 2ステップ転送 |
---|---|---|
処理回数 | 一度のMIGOで完結 | 出荷と入荷の2回のMIGO |
積送中在庫 | なし | 発生し、MB5Tで確認可能 |
管理のしやすさ | シンプル | 納期・輸送時間の可視化が可能 |
適しているケース | 近距離・即時移動 | 輸送日数を要する場合 |
おわりに
在庫転送オーダーは、単なる在庫の移動を会社内の正式な取引として処理・管理するための強力なツールです。
「1ステップ or 2ステップ?」は業務実態に応じて選びましょう。
積送中在庫が残っていたら MB5T
で確認して、適切に入荷処理を行うことも忘れずに!
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