1. イントロダクション
- SAPシステムでの品目管理において、**品目タイプ(Material Type)**は、各品目の管理方法を決定する重要な要素です。
- 本記事では、主要な品目タイプの概要、設定方法、具体的な用途について解説します。
2. 品目タイプ(Material Type)とは?
- 定義:
- 品目タイプは、SAPシステム内で品目を分類し、在庫管理や会計処理、購買プロセスの管理方法を決定する設定です。
- 目的:
- 各品目の特性に応じて管理方法を統一し、適切に分類・処理するために使用されます。
3. 主な品目タイプの種類と特徴
品目タイプ | 説明 | 使用例 |
---|---|---|
ROH | 原材料(Raw Material)。製造に使用され、在庫管理が必要。 | 製品の製造に使用される部品や素材。 |
FERT | 製品(Finished Product)。最終的な製品で、販売される品目。 | 完成品としての機械や家電製品など。 |
HALB | 半製品(Semi-finished Product)。製造中に作られる品目。 | 中間製品や部品。 |
VERP | 包装材(Packaging Material)。製品の包装に使用。 | 梱包箱、パレットなどの包装資材。 |
NLAG | 非在庫品(Non-stock Material)。在庫管理が不要。 | 備品、消耗品、外部委託作業の材料。 |
HIBE | 取引品(Trading Goods)。そのまま販売される商品。 | 完成品として購入して再販する商品の部品。 |
HAWA | 販売品(Trading Goods)。製造せずにそのまま販売される品目。 | 小売業で販売される消費財、日用品。 |
4. HAWA(販売品)についての詳細
- **HAWA(Trading Goods)**は、製造や加工を行わず、購入してそのまま販売するための品目タイプです。これは、小売業や商社などで、商品を購入して再販するビジネスモデルに適しています。
- 特徴:
- 在庫管理は行うが、製造プロセスを経ないため、製造に関するデータは必要ありません。
- 購買と販売のプロセスが中心で、製品の仕入れと出荷が主な業務です。
- 使用例:
- 小売店での消費財(例: 食品や日用品)や商社での販売品。
- 商品を仕入れてそのまま顧客に販売するケースに適しています。
5. 品目タイプの設定方法
- 品目タイプの設定画面へのアクセス
- トランザクションコード
OMS2
を使用し、品目タイプの設定を行います。
- トランザクションコード
- 品目タイプの主な設定項目
- 数量更新(Quantity Updating): 在庫を管理するかどうかを決定。
- 評価更新(Value Updating): 在庫の評価を行うかどうかを指定。
- 購買設定: 購買プロセスに使用するかどうかを設定。
- 製造設定: HAWAのように製造が不要な場合、製造関連の設定はスキップします。
6. 品目タイプの活用シナリオ
- 製造業での使用
- **ROH(原材料)とHALB(半製品)**を用いて、原材料の仕入れから製品の製造までのプロセスを管理。
- **FERT(製品)**で、完成品の在庫管理と販売を行います。
- 商社や小売業でのHAWAの使用
- **HAWA(販売品)**は、仕入れた商品をそのまま再販する場合に適用。
- 製造プロセスが不要なため、商品の入出庫に集中した管理が可能です。
- 非在庫品の管理
- **NLAG(非在庫品)**は、備品や消耗品の管理に使用します。在庫管理が不要で、購入時のみ費用計上。
7. 品目タイプの設定における注意点
- 適切な品目タイプの選択
- ビジネスプロセスに応じて、正しい品目タイプを設定することが重要です。誤った設定は、在庫や会計処理に影響を与える可能性があります。
- HAWAの特徴に合わせた設定
- HAWAは製造プロセスを含まないため、製造関連の設定は省略し、購買と販売に重点を置いた設定にする必要があります。
8. SAPの関連テーブルと項目名
テーブル名 | 説明 | 主なフィールド | フィールド説明 |
---|---|---|---|
MARA | 品目マスタデータを管理する基本テーブル。 | MATNR , MTART | 品目番号、品目タイプ |
T134 | 品目タイプの設定を管理するテーブル。 | MTART , BKLAS , MBEW | 品目タイプ、評価クラス、在庫管理 |
MBEW | 品目の在庫評価データを管理するテーブル。 | MATNR , BWKEY | 品目番号、評価エリア |
9. まとめ
- 品目タイプ(Material Type)は、SAPでの品目管理を効率化するための重要な設定です。
- HAWA(販売品)を含む各品目タイプの特性を理解し、適切に設定することで、在庫管理、会計処理、購買プロセスを最適化できます。
- 業種や業務要件に応じた品目タイプの活用により、SAPシステムを最大限に活用しましょう。
コメントを残す