SAP MMモジュールの概要
SAPのマテリアルマネジメント(MM)モジュールは、企業の物流活動を効率的に管理するための中核的なコンポーネントです。MMモジュールは、調達(Procurement)、在庫管理(Inventory Management)、消費ベース計画(Consumption-Based Planning, CBP)の三つの主要な柱に分かれています。この記事では、それぞれの柱の詳細とその重要性について説明します。
調達(Procurement)
調達は、企業が必要とする物資やサービスを外部から購入するプロセスです。調達プロセスは、購買依頼から発注、受入、請求書の処理までを含みます。
- 購買依頼: 部門からの物資やサービスの需要を収集し、それに基づいて購買依頼を作成します。購買依頼は、内部的な要求としてシステムに入力されます。
- 発注: 購買依頼が承認されると、購買部門は発注書を作成し、サプライヤーに送付します。発注書には、品目、数量、価格、納期などの詳細が含まれます。
- 受入: サプライヤーから物資が届くと、受入部門は納品された物資を確認し、システムに受入を記録します。受入プロセスでは、納品書と発注書の内容が一致していることを確認します。
- 請求書処理: サプライヤーから請求書が届くと、財務部門は請求書を検証し、システムに記録します。検証プロセスでは、請求書、発注書、受入記録の一致を確認します。
在庫管理(Inventory Management)
在庫管理は、企業内での物資の保管、移動、消費を管理するプロセスです。在庫の正確な管理は、資産の有効利用と供給チェーンの効率化に不可欠です。
- 入庫: 物資が倉庫に受け入れられ、システムに記録されます。これにより、在庫レベルが更新されます。
- 移動: 物資が異なる倉庫間や保管場所間で移動される際、システムに移動が記録されます。移動プロセスでは、在庫の位置と数量が正確に管理されます。
- 出庫: 物資が消費されるか、顧客に出荷される際、システムに出庫が記録されます。出庫プロセスでは、在庫レベルが減少し、在庫記録が更新されます。
- 在庫棚卸: 定期的に在庫棚卸が行われ、実際の在庫とシステム上の在庫を比較し、差異があれば調整されます。在庫棚卸は、在庫の正確性を維持するために重要です。
消費ベース計画(Consumption-Based Planning, CBP)
消費ベース計画は、過去の消費データを基に将来の需要を予測し、必要な在庫レベルを計画するプロセスです。この計画は、企業が適切なタイミングで適切な量の物資を確保するために重要です。
- 需要予測: 過去の消費データを分析し、将来の需要を予測します。需要予測は、季節性、トレンド、プロモーション活動などを考慮して行われます。
- 在庫レベル設定: 予測された需要に基づいて、各品目の最適な在庫レベルが設定されます。在庫レベルは、安全在庫、再発注点、最大在庫レベルなどのパラメータを含みます。
- 補充計画: 在庫レベルが再発注点に達した場合、自動的に補充プロセスが開始されます。補充計画では、最適な発注数量とタイミングが決定されます。
- 実行とモニタリング: 計画された補充プロセスが実行され、在庫レベルが維持されます。補充プロセスの実行状況は、定期的にモニタリングされ、必要に応じて調整が行われます。
おすすめ書籍
SAPの全体像や基本概念を理解する上で、下記書籍がおすすめです。
[product=9784798065199]
[product=9784798055503]
まとめ
SAPのMMモジュールは、企業の物流管理を包括的にサポートするための重要なツールです。調達、在庫管理、消費ベース計画の各プロセスを理解し、適切に活用することで、企業の効率と競争力を大幅に向上させることができます。これにより、物資の供給チェーンがスムーズに運営され、コストの削減と顧客満足度の向上が期待できます。
コメントを残す