1. イントロダクション
- SAP S/4HANAでは、購買発注における確認管理(Confirmation Control)を使用して、サプライヤーからの納入状況や確認情報を効率的に管理します。
- S/4HANAでは、従来の仕入先マスタがビジネスパートナー(BP)に統合されており、購買情報マスタと合わせて確認管理を行います。
- この記事では、BPと購買情報マスタの確認管理設定、使用するテーブルと項目について詳しく説明します。
2. 確認管理(Confirmation Control)とは?
- 定義: 確認管理は、購買プロセスにおいてサプライヤーからの発注確認、出荷通知、入荷確認などの情報を管理するための機能です。
- 目的: 発注品目の納期管理や在庫調整を効率化し、納入の遅れや在庫不足のリスクを軽減することができます。
3. BP(ビジネスパートナー)の確認管理設定
- ビジネスパートナー(BP)とは?
- SAP S/4HANAでは、ビジネスパートナー(BP)は仕入先、得意先、従業員などの役割を統一的に管理するエンティティです。
- BPロール: BPに対して「仕入先(FLVN00)」や「購買組織レベルの仕入先(FLVN01)」のロールを割り当てることで、購買プロセスに関連するデータを管理します。
- BPでの確認管理の設定
- BPに関連する確認管理の設定は、**仕入先ロール(FLVN01)**で行います。
- トランザクションコード
BP
でビジネスパートナーを開き、「仕入先」ロールにおいて確認キーを設定します。
- 設定された確認キーは、購買発注作成時に提案され、標準の確認管理が適用されます。
4. 購買情報マスタ(Purchasing Info Record)の確認管理設定
- 購買情報マスタとは?
- 購買情報マスタは、特定の品目とサプライヤーの組み合わせに対する購買条件や設定を管理するデータレコードです。
- 購買発注を作成する際、品目ごとに異なる確認管理の設定を適用できます。
- 購買情報マスタでの確認管理の設定
- トランザクションコード
ME12
で購買情報マスタを開き、「確認」タブで確認キーを設定します。
- 購買情報マスタに設定された確認キーは、対応する品目とサプライヤーの組み合わせに基づいて、購買発注作成時に自動的に提案されます。
5. 確認管理の優先順位
- 購買情報マスタの設定が優先され、購買情報マスタに確認キーが設定されている場合は、その設定が購買発注書に適用されます。
- 購買情報マスタに設定がない場合は、BP(ビジネスパートナー)の設定が適用されます。
- これにより、品目ごとの特定の条件とサプライヤーごとの標準的な設定を両立させることが可能です。
6. 確認キーの種類と動作
確認キー | 説明 | 動作の詳細 |
---|
0001 | 発注確認(Order Acknowledgment) | サプライヤーからの発注確認を登録し、納期を確定します。 |
0002 | 出荷確認(Shipping Notification) | サプライヤーからの出荷情報を登録し、納入予定日を調整します。 |
0004 | 入荷伝票(Goods Receipt Slip Required) | 商品の入荷を登録し、在庫を更新します。 |
7. SAPにおける関連テーブルと項目名
以下の表で、確認管理に関連するSAPのテーブルと主要な項目を説明します。
テーブル名 | 説明 | 主なフィールド | フィールドの説明 |
---|
EKKO | 購買発注ヘッダデータを管理するテーブル | LIFNR | 仕入先番号(ビジネスパートナーID) |
EKPO | 購買発注明細データを管理するテーブル | KONNR | 確認キー |
LFM1 | 仕入先マスタ(BPの仕入先ロールに対応するデータ) | LIFNR | ビジネスパートナーID(仕入先番号) |
INFREC | 購買情報マスタデータを管理するテーブル | MATNR , LIFNR | 品目番号、仕入先番号 |
8. 実際の確認管理の流れ
- BPまたは購買情報マスタで確認キーを設定し、購買発注作成時にその設定を基に確認管理が提案されます。
- 発注確認(0001): サプライヤーが発注を受領したことを確認し、システムに登録します。
- 出荷確認(0002): サプライヤーが商品の出荷を通知し、SAPシステムで出荷確認を行います。
- 入荷確認(0004): 商品が倉庫に到着したとき、入荷伝票を作成してシステムに登録します。
9. まとめ
- SAP S/4HANAでは、確認管理がBP(ビジネスパートナー)と購買情報マスタを通じて設定され、購買発注に適用されます。
- BPの仕入先ロールおよび購買情報マスタの確認キー設定を利用して、納期管理や在庫更新が効率化されます。
- 関連するテーブル(
EKKO
、EKPO
、LFM1
、INFREC
)を理解し、データ管理を適切に行うことが重要です。
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