CDS in ABAPとCDS on HANAの違い:SAPデータモデルの最適化を理解する

1. イントロダクション

  • SAPのデータモデルにおいて重要な役割を果たすCore Data Services (CDS)。
  • ABAP環境とHANA環境でのCDSの違いを理解することで、最適なデータ処理の選択が可能になる。

2. CDS in ABAPとは?

  • 概要:
    • CDS in ABAPは、ABAP開発環境で定義されるCore Data Servicesビューを指す。
    • ABAPアプリケーション層で実行されるCDSビューで、データの抽出や集約を行うためのロジックが含まれている。
  • 主な特徴:
    • ABAPプログラムから直接呼び出せる。
    • ABAP Dictionaryに統合されており、既存のABAPスキルを活用しやすい。
    • SQLスクリプトの拡張として、既存のABAPコードとの互換性が高い。

3. CDS on HANAとは?

  • 概要:
    • CDS on HANAは、HANAデータベース上で直接定義されるCDSビューを指す。
    • データベース層で実行され、高速なデータ処理を実現するために最適化されている。
  • 主な特徴:
    • データベース層での処理が中心であり、パフォーマンスが向上。
    • HANAのインメモリ処理をフルに活用し、大量データのリアルタイム処理が可能。
    • HANA特有の機能(例えば、計算ビューやインメモリ処理)と組み合わせて使用できる。

4. CDS in ABAPとCDS on HANAの主要な違い

  • 処理の実行場所:
    • CDS in ABAP: ABAPアプリケーション層での実行が中心。
    • CDS on HANA: データベース層での実行が中心で、高速なデータ処理が可能。
  • パフォーマンス:
    • CDS on HANA: HANAのインメモリ技術を活用することで、大量のデータ処理に優れたパフォーマンスを発揮。
    • CDS in ABAP: アプリケーション層で処理されるため、パフォーマンスはHANAほど高くないが、ABAPのビジネスロジックと密接に統合できる。
  • 統合と拡張性:
    • CDS in ABAP: ABAPの既存環境やツールと統合しやすく、開発者にとって親和性が高い。
    • CDS on HANA: HANA固有の機能と密接に統合されており、より高度なデータ処理が可能。

5. 実際の使用シナリオ

  • CDS in ABAPの使用例:
    • 複雑なビジネスロジックを含むデータ抽出が必要な場合。
    • ABAP環境内で完結するレポートやアプリケーションに適用。
  • CDS on HANAの使用例:
    • 大量データのリアルタイム分析や集約処理が必要な場合。
    • 高パフォーマンスを要求されるダッシュボードや分析アプリケーションで使用。

6. 選択基準とベストプラクティス

  • ABAP環境の優位性を活かす場合:
    • ビジネスロジックが複雑で、ABAPコードとの統合が求められる場合、CDS in ABAPが適している。
  • HANAのパフォーマンスを重視する場合:
    • 大量データの高速処理が求められる場合、CDS on HANAを選択すべき。
  • 混合使用の検討:
    • 必要に応じて、CDS in ABAPとCDS on HANAを組み合わせて使用することで、両者の強みを最大限に引き出すことが可能。

7. まとめ

  • CDS in ABAPとCDS on HANAは、異なる層で動作するが、それぞれの特性を理解し適切に使い分けることで、SAPシステムのパフォーマンスと効率性を最大化できる。
  • 自社の要件に合わせた最適なCDSの選択が、データ処理の効果を大きく左右する。

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